全ては荒野となりぬべし

Enju Shilova

2007年11月19日 15:15


 事件は、11月18日深夜23時30分ごろに、起こった。
 それは突然の出来事。誰も予想すらできない出来事。
 世界の消失。
 街、建物、そして、
 微笑み、優しさ、愛情、人の営みの全てが、あたしの視界から消え去り、一瞬のうちに、荒野に変わった。
 惨劇は、一区画。あたしは偶然、隣の区画にいたことにより、その惨劇から、免れた。

 (って、すごく,真面目に、今日は,ブログを、はじめてみました^^
  そうです、あたしの隣のSIMが、急にトラブって、落ちてしまったのです。
  それも、、長時間です。)

 自宅が、店が、瓦礫と化した、いや、瓦礫すら残りはしない。
 建物を失った荒野の向こうに、海が臨めた。
 地平に沈み行く太陽は、世界が崩壊したことを、私たち、残った人類に、無言のまま、告げていた。

 (まあ、たぶん、SIMが復活したら、元に戻るでしょうけれど^^)

 

 「きれいな、夕日ね」
 どこかで、誰かが、つぶやいた。
 たくさんの人が、一瞬にして消えた。その苦しみと、悲しみを、考えればそれは、とても不謹慎な発言。
 けれど、あたしは、彼女を非難する、言葉をもてなかった。
 そこには、心に、染みとおる夕日が、存在していた。
 あたしは気づいた。
 無意識に、夕日がよく見えるように、高みに上がっていた。



 あたしは、夕日に背を向け、惨劇から免れた、オープンカフェのクラブに戻るしかなかった。
 ラジオから歌声が聞こえてくる。
 街から離れた、放送局には、被害がなかったのかも。
 でも、こんな、惨劇があったはずなのに・・・
 どうして、一度も臨時ニュースが流れないのかしら。
 あたしの心の奥底に冷たい不安が走った。
 放送局にはもう、人はいない。ただ、機械だけが、止められる人の存在を失って、音楽を流し続けている。
 あたしは、信じきれず、いいえ、それを考えることさえも、恐ろしくなり、
 その不安を、押し殺して、クラブに残っている、生き残った人たちに話しかけた。
 幾時間が、たったのか。
 あたしは、疲れて寝てしまっていたのかもしれない。
 起き上がったとき、あたしは気づいた。



 東西に伸びた石畳の道路の反対側、そこには、朝日が地平を、暖かく照らしていた。
 凍えついた夜は終わり,陽はまた昇る。



 残った人々の心に、希望の小さなともし灯、かすかな、産声を上げた。
 人々が、立ち上がりはじめたのは、もう、太陽が完全に昇りきった頃。



 まだ、表情のどこかに苦しみと悲しみをたたえてはいたが、
 人々の顔には、別の感情が、息づいていた。
 希望。
         希望を捨てぬ限り、
                陽は、また,昇る。
                               END
 

              撮影協力  Peppermint Blue Alice Barzane  
                       Umeda Osaka (12,180,52)
ハプニング